原型師 谷明氏より、GTMツァラトウストラ・アプターブリンガーついて

こんにちは!企画・開発担当のK_NAGAMIです。
原型を手掛けた谷明さんより、
ツァラトウストラ・アプターブリンガーについてコメントが届きました。
F.S.S.に対する想いからデジタル造形についてまで、熱く語っていただいてます。
是非、ご覧くださいませ。

 


 

製作・文:谷 明(株式会社OZ)

古(いにしえ)よりの星団民モデラーの皆様ご無沙汰しておりました。
ときおり星団に帰っておりましたが、今回ジョーカー星団に戻った以上もうこの地を離れることはありません。
今後はアワートレジャー様にてF.S.S.のGTM開発の一翼を担いますので、みなさま改めてよろしくお願い致します。

さてF.S.S.造型、本格的な造型としては僕にとって初GTMは、いきなりのZ.A.P.となりました。
もちろんこれは僕が作りたくてしょうがなかったGTMなので願ったり叶ったり。
ただまあデザインを見ればすぐにわかるように幾重にも重なった密度の濃いパーツ群、それらを紐解きながら立体に構成していくのはGTMの中でも群を抜いて難易度が高い…だがそれでこそF.S.S.、永野メカデザインの真骨頂。
難しいほどやる気が出て造型スピリッツがたぎりますね。

 

僕は2020年よりアナログ造型からデジタル造型にスイッチしています。
これはアナログはもうだめだ!とかいうよりも視力が衰えてやりにくくなった、というのが主因です。

デジタルでモデリングしても最終的にプリントして磨いて仕上げるのだからアナログ技術が大事なことは今も変わらないです。
後述しますがデジタルでもアナログで養った感性が生きます。

使用デジタルツールはZbrush2022。ちょっと古いバージョンですがなんら問題ありません。なぜなら本当に基本的な機能しか使ってないので(笑)。
Zbrushでハードサーフェスモデリングをする場合、zmodelerブラシというのを主に使うのですが、僕の場合は全工程の9割これだけです。おそらくZbrushの全機能の1割も使ってませんね(もったいないですが)。
ハードサーフェスモデリングのコツはいかにローポリゴンできれいに面構成が出来るかに尽きます(僕に基本を教えてくれたzbrush師匠のtomo3-tipsさんの受け売り)。
zmodelerブラシでエッジ、ポイントを任意に細かく動かせるのでとても直感的にやりやすいのです。大昔、それこそ高校生のころ…パテも大量には高くて買えなくてプラ板のみでMHを作ろうとしていた時代がありまして。
面構成をワイヤーグラフィック(ローポリゴン)的に頭ン中で分割再構成、プラ板で組み上げていたスキルが今になって生きている感じですね。
zmodelerで作り上げるローポリゴンもそんな感じなのです。

 

 

デジタルモデリングでGTM完成まで造ったのはZ.A.P.が初なんですけど、部分的にはアナログでいくつか作ってました。
Z.A.P.をはじめとしてカイゼリン、グリット、MGP、メロウラなどなど…目的は感性を失わないための部分試作でした。
今回Z.A.P.を作るにあたり、その時のアナログ造型を見ながらデジタル上に反映という形もとっています。

 

Z.A.P.の頭ってチューンホーンやヘッドバック•ハロといった複雑な構成なので、アナログでの空間把握が大いに役立ちました。
サイズの調整や相互干渉の調整はデジタルならではの自由度で、どちらもなくてはならない感じなのです。

 

Z.A.P.のモデリングにあたっては他のミラージュマシンのデザイン、MGPやグリットなども劇中の描写、デザイン画を研究しました。
共通項として読み取れる基本的なパーツの構成、位置、特徴…注釈読むとMGPは運用思想の違うGTMゆえ構造は参考になるけど各パーツは違うのね…んん?Z.A.P.とグリットのデザイン画の前腕似てるなあ…同じか??もしかしてグリットがニュータイプ誌表紙になった時の解像度高めの前腕でいけるのでは!?って思って、モデリングしたのを監修で質問したら正解でした!なのでこのZ.A.P.はそのように造ってあります。つまり…(自粛)

 

パーツ構成はアンクルクレーン、スタティックロングテール、Fランチャーなども相まって、標準的なGTMの倍以上(永野先生いわく2.5倍)。

 

この膨大なパーツ群をプリントして組んで…ある程度想定しながらモデリングしましたけど、想像以上に重力がパーツに与える負荷がありました。なのでレジンキットでは負荷のかかるパーツはABSライクレジンにしてもらって強度を上げてもらっています。

完成見本はフィニッシャーのコボパンダさんに組んでもらっています。
驚くべきことに組み説もまだできていない状況下で、レンダリング画像だけで完璧に組み上げてくれてビックリ!わりと組みやすいと言ってくれていたのでパーツ数は多いけど大丈夫ぽいです。要所要所の負荷のかかる部分の接合には技術があれば太めの金属線を通して組み上げると安心です。

 

 

とにもかくにもこうして出来上がったZ.A.P.は今できること全てを出し切った集大成です。
疲れ…てないんですね、これが(笑)。
もうGTMを造りたくて仕方がない!
全然疲れてないし造るのが楽しくてしょうがないからどんどん造っちゃいます!
造れることが楽しい嬉しい。
23年ぶりに還れて思った心からの思いです。
Z.A.P.のレジンキットから皆様にこの気持ちが届きますように。

 

 

 


 

以上、谷明さんによるGTMツァラトウストラ・アプターブリンガーの製作記でした。

 

なおツァラトウストラ・アプターブリンガーは、現在
アワートレジャーYahoo!店【ツァラトウストラ・アプターブリンガー】

で予約受付中です。

2月29日受注締め切りとなりますので、まだ予約されていない方は、この機会にぜひ宜しくお願い致します!!

K_NAGAMI

©EDIT

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