原型師Syujyu氏より、GTMマグナパレスについて

こんにちは!企画・開発担当のK_NAGAMIです。
原型を手掛けたSyujyuさんより、帝騎マグナパレス ザ・ナイト・オブ・ゴールドについてコメントが届きました。
今回も造形時の裏話やクローム調塗装について等、色々語っていただいております。
是非、ご覧くださいませ。

 


GTMマグナパレスの製作について

製作・文:Syujyu

アワートレジャーのFSSガレージキット、今回はFSSの主役騎、帝騎マグナパレスを製作しました!
破烈の人形までは3Dモデリングに関して書いていたのですが、今回は造形解釈と塗装について書いてみたいと思います。

造形的なポイントですが、今回特に気をつかったのは頭部、胸部の正面形状です。

マグナパレスに関してはデザイン画、詳細設定、本編登場シーンと造形開始時に結構資料が出そろっていたのですが、頭部、胸部に関してはほぼ横アングルの資料しかないんですね。
(花の詩女の冒頭に真正面が出てきますがあれは現行のデザインとはかなり違いますので…)
ただ、頭部については本編に1コマだけほぼ正面に近いアングルで登場しています。

造形の際にも横アングルメインで形状把握して造っていたのですが、監修での指摘が頭部と胸部の正面形状に関するものが多かったんですね。
特に頭部に関しては「額の幅を広く、後ろに向かって広がるだけではなくラウンド形状で」といった感じで前述の本編登場シーンに合わせるような指示があり、永野先生としてはマグナパレスの頭部正面形状はやっぱりあの本編登場シーンのイメージなんだなと思い、そのコマの印象を大事にしています。

実際にそのように造ってみるとパッセンジャーセルも収納しやすいですし、頭部を正面から見たシルエットも
下への広がり方がメリハリのついた形状になります。
頭部に関してはそのあたりの形状のこだわりを見ていただきたいなあと思っています。

胸部に関してもマグナパレスについては横アングルの資料が多く、造形途中で公開されたハイファ・ブリンガーのデザイン画が割と正面に近いアングルだったので、ハイファの胸部の印象を参考にして造形しました。
ここも監修指摘で胸部の正面ブロックの幅を広くという指摘があったのですが、ハイファもそのような感じで描かれていたのでやっぱりこういう印象なんだろうなと理解して造っていった部分になります。

また、今回造形するにあたって頭を悩ませた点としてバスターランチャーをどうマウントするかという点があります。
設定としてはバスターランチャーはほぼ空洞なのでとても軽く、キャリーハンドルをクレーンのセカンドアームにひっかけているというふうにうかがったのですが、その設定を実際に模型で再現するのは物理的に難しいという問題がありました。
今回は展示時の安定性も考えて、バスターランチャー自体を透明の台座でささえ、その代わりに上記の「キャリーハンドルをウエストクレーンのセカンドアームにひっかける」という設定を再現できる形にしています。

その場合、キャリーハンドルの位置も問題となってくるのですが、今回はバスターランチャー右側面が描かれていないことから、右側にハンドルをスライドさせるレールがあるという解釈としました。そちらの方が取り回しがよさそうですしね。
また、左利きのカレン搭乗時にはバスターが右側にセットされるという点も、銀色のパーツをアタッチメントとし、付け替えることでハンドルを左側面に持っていくことも可能なように解釈して造形しています。
(いつかバスター二門装備状態も出てきそうですよね… 肩のトラベリングロックで保持することで肩撃ちも可能なようですし…)

クレーンのメインアームとセカンドアームの連結方法についても頭を悩ませました。ここ、ホントに造った人同士でどう解釈したか話してみたい部分ですね(笑)

また、塗装についてですが、今回、監修の際に依頼されたこともあって、メッキ塗装としています。
今回使ったメッキ調塗料はテラクロームという塗料なのですが、この塗料は使用方法を守ればかなり成功しやすい塗料ではないかと思っています。
体感的には下地をきちんと作れれば、メッキ塗装、上掛けクリアー塗装での失敗はほぼなかったです。

肝心の下地ですが、ウレタンクリアで下地をつくり、よく乾燥させる必要があります。
今回はテラクロームと同じメーカーの1液ウレタンクリアを使用し、塗装後1日は乾燥させました。
(この点もメーカーさんの説明をきちんと守っているだけです)
下地の段階でウレタン仕上げになっており、その上に塗装しているのがメッキ塗料とクリア塗料だけなのでクリア塗装後の磨きなどはしなくても綺麗な仕上がりとなります。
ウレタン下地を薄く仕上げているので、最終の塗装が終わった状態でもパーツのエッジは保たれていると思います。
この点は永野先生にも褒めていただいた点です。1液ウレタンだとほぼラッカー塗料のような薄さまで薄めて塗れますので今回は1液ウレタンを使用しています。

メッキ塗装の注意点については2点あり、
①メーカー説明通り厚塗りしてしっかり塗膜を作る点
②乾燥したテラクロームの上から再度テラクロームを塗装しない点
の2点となります。
①をしっかり守らないと後のクリア掛けで失敗します。
また、②に関しては体感的なものなのですが、これをやってしまうと白っぽく曇ってしまう可能性が高かったです。
ですので塗装の際はメーカーさんの塗装動画のようにテラクロームが乾燥しきらないうちに常に塗料をかけ続けて厚塗り状態に持っていく必要があります。
ここは練習が必要な部分ですね…

クリアの上掛けに関しては塗料をアップした際に変わった色だと反響があったのですが、実際は顔料系クリアのレッドとイエローを混ぜているだけなので、塗料が顔料系なだけで普通のキャンディ塗装とやっていることは変わりません。
今回は3回くらい塗り重ねると目的の金色に発色するくらいの薄さにして、発色後、透明のクリアをかけて艶出しをしています。
着色用のクリアに関してはもっと濃くすると工程を減らすことは出来ると思いますが、全体の色味を統一することが難しくなるので上記くらいの薄さにしています。
クリアを造る際はほぼクリアイエローで、レッドを1滴ずつ足しながら調整していくとうまくいくと思います
色味に関しては監修の際に金の色味を相談した際、あまり赤金にはしない方がよいとうかがったのでそのように調整しています。
こういうキャンディ塗装だと黄色味が強くなりがちな面もありますし調整が難しいところではありますね…

塗装に関してはメッキ塗装はハードルが高いと思われがちですが、上記の注意点を守れば成功率は高いと思います。
ただ、塗料の値段が高いです…
最近は綺麗な金色も多く出ていますし、通常の金色塗装で塗ったものも見てみたいなあとは思っています。
破烈の人形に関してはホントに多くの人に造っていただいているみたいで、ネット上でも画像を多く見かけてうれしかったです。
今回のマグナパレスも色々な金色表現で完成品が多く見れるとよいなあと思っています。
次回作についても造形は始めています。流石に次は少し軽めのネタで…
それではまた!

 


 

以上、SyujyuさんによるGTMマグナパレスの製作記でした。

なおマグナパレスは、現在
アワートレジャーYahoo!店【帝騎マグナパレス ザ・ナイト・オブ・ゴールド】

で予約受付中です。

間もなく受注締め切りとなりますので、まだ予約されていない方は、この機会にぜひ宜しくお願い致します!!

K_NAGAMI

©EDIT

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