プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その7~

こんにちは!企画・開発担当のK_NAGAMI(永見浩士)です。

岡島正晃による『1/20イプシロン製作記』の7回目。
前回、グラデーションを筆塗りで再現するため解説されたレイヤリング法。
こちらを実践するにあたって、動画も交え、初めての方でもしっかり分かるように解説しています。


 

『1/20イプシロン』製作記』 ~その7~

製作・文:岡島正晃

レイヤリング現実論

でもだがしかし!

往々にして、現実ってぇのは理想とかけ離れているものでして。だって、考えてもみてください。そりゃ確かに、ブルーに1%だけホワイトを加えてながら塗り重ねていけば、最後に白塗るころには、めっちゃキレイなグラデーションが出来上がるでしょうよ。だけどそれじゃあ、真っ白に到達するまで100回も塗らなきゃならないんですぜ?

またもちろん、実際問題として「それ、可能?」ってのも大いに疑問。小さなモールドに対して「等高線」を密に塗れば塗るほど、直前の色を塗りつぶし易くなりますし、それ以上に塗膜が何十層も重なれば、表面はケロイドさながらの荒れ放題になっちまいますからね。

じゃあ現実には、どうしたらキレイなグラデーションが塗れるのか? 答えの鍵を握るのは、塗料の「濃度」と「量」です。

まず「濃度」ですが、ベースカラーより上の色は、かなーり薄めて使うのが肝。私の場合、濃くても塗料2:ラーミアンメディム/炭酸水8ぐらいで、ハイライト付近ともなると、もっと薄めることすら少なくありません。

コレがどういう効果を生むかって言いますと、まず「薄めた塗料を重ねていく」ため、ちょっとやそっとでは塗膜がボッコボコになりません。加えて各レイヤー色は薄い=透明度が高いため、すぐ下の色を絶妙に「透かす」ことで、色同士が馴染んでくれるのです。

【動画:グラデーションの基本】

顔のレイヤーの中盤(たしか8色目ぐらい?)を塗っているところ。このぐらいの明度差なら、ちゃんと薄めて塗れば、それまでのグラデーションの上に余裕で馴染みます。

また透明度が高いぶん、それまで塗った部分に多少はみ出したところで、さしてグラデーションをツブさずに済むのも秘かなポイント。キッチリ等高線を塗り分けなくとも、「色の重なりが、おおむね等高線状」に塗れていれば、違和感はありません。

さらに、薄い=透明度の高い塗料は、少ししか乗らなかったところは下地が強く透けてより馴染むのに対し、それなりに乗せてやった部分は下地を隠して強く発色します。そのへんを筆でコントロールできれば、こんな塗り方も可能です。

【動画:グラデーション・コントロール】

膝側から筆を運び、シワの直前で筆を止めればこのとおり。塗料が伸ばされて少ししか残らなかった膝側は下の色を透かしてイイ按配にボケ合い、より強く発色している上側に向けてもキレイなグラデーションを作ってくれています。

このように、塗料の濃度=透明度と量を上手くコントロールして、直前に塗った色とボカしながらながら塗ってやれば、100回塗り重ねずともキレイなグラデーションが塗りあがるって寸法です。今回のイプシロンで言えば、だいたい20レイヤーちょいで塗り上げていますね。

ただし、こうした塗り方をするためには技術以上に、塗料が強すぎず弱すぎずの絶妙な隠ぺい力を備えていることと、薄く溶いた塗料の内部で顔料が均一になっていること、そして狙った場所に狙った量を乗せられる、ほんのわずかなトロ味を持つことが必要。これが、私がコートデアームズ・ペイントとラーミアン・メディウムをオススメする理由というワケです(もっともラーミアン・メディウムは、新しくても使い過ぎると塗膜が厚く、荒くなりますが。その場合は水/炭酸水と併用するのもアリです)


 

以上、岡島正晃による『1/20イプシロン製作記』の7回目はここまで。
レイヤリング技法の理解を深めたところで、次回はカラーレシピをしっかり解説します。

 

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その8~ はコチラ

 

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その1~ はコチラ

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その2~ はコチラ

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その3~ はコチラ

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その4~ はコチラ

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その5~ はコチラ

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その6~ はコチラ

•プロの秘技を完全公開!『1/20イプシロン』製作記』 ~その9~ はコチラ

 

K_NAGAMI(永見 浩士)

©サンライズ

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